2015年 9月定例議会だより
[1] ごあいさつ
 めっきり秋の気配が感じられ、紅葉が待ち遠しい季節となりました。 皆様におかれましては、ますますご健勝のことと存じます。
 私事、皆様のご支援をいただきまして、4月熊本市政に4年ぶりに復帰することができました。 本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
 それから早いもので、すでに、半年を過ぎました。この間、皆様のご期待にお応えできるように、 さまざまな議会活動に取り組んでまいりました。本日、その一端を報告させていただきます。
ご一読いただき、ぜひご意見をお寄せださい。
[2] 9月定例議会 最終討論
   市民連合を代表して、「安保法反対」を訴える!

 参議院の特別委員会で強行採決された安保関連法案が参議院本会議でも数々の問題点が明らかにされないまま、 自民・公明などの賛成多数で強行に可決されてしまいました。

 これまで70年間にわたり、一人の戦死者も出さず、たった一発の弾丸さえも撃たなかった日本は、戦争をしない国として中東、 アフリカなどの紛争が日常化している国々からさえも信頼されてきました。

しかし、今回成立した安保関連法は自衛隊の武器の使用を可能にし、内閣が必要と認めれば海外のどこべでも派遣し、同盟国と一体となって 戦争ができる法律です。だから「戦争法」と言われるのです。戦争当事国とならないこと、平和こそが最大の福祉だと私は考えます。

中国の脅威をことさらあおりたてる安倍内閣はかえって日本の安全保障を危うくさせています。安保関連法はあくまで憲法違反であり、 市民連合は安保関連法反対の意見書を提出、私が代表して6月議会に続き意見書への賛成討論(安保関連法反対の立場から)を行いました。

政府は、国民のあれだけの反対の声を無視して、戦争法案を成立させました。憲法学者のほとんどが違憲であると結論付けていたにも関わらず、 数の強行で、歴史に禍根を残す結果となりました。さらには、憲法改正をもくろんでいることは明らかです。

 私たちはその暴挙を決して忘れません。そして、これからも決してあきらめることなく、廃止に向けて、国民の声を結集して行動します。

        子どもたちを再び戦場に送らないために!
[3] 厚生委員会報告
 ①おでかけバス券 廃止に伴う措置を求める

 熊本市が進めている市電やバスで利用のICカード導入に伴い、これまで広く愛され利用されてきた「おでかけパス券」 を来年3月末で廃止するという議案が9月議会に上程されました。

福祉作業所などの通所施設を利用する皆さんから、これまでよりも通勤のための運賃の負担増となり、障害者の社会参加への影響が大きすぎることなどが問題になり、 厚生委員会で論議がなされました。

私は委員長として、それらの意見を取りまとめ、実態調査の実施や福祉タクシー券の複数枚使用など、障害者の社会参加が進むように、 総合的な移動支援策を厚生委員会の総意として、委員長報告の中で行政側に強く求めました。

 ②横浜・仙台行政視察報告

 去る7月27~30日の2泊3日、私が委員長を務める熊本市議会厚生委員会10名で、福祉施策の先進地視察のため、 神奈川県横浜市と宮城県仙台市を訪れました。

・神奈川県横浜市  ~待機児童解消のために、コンシェルジュ方式が効果!~

 子育てをしながら働くためにどうしても必要な保育施設。少子化社会とはいえ、現実には出産前後の育児休暇を終えていざ職場復帰を、 とすると大きく立ちはだかるのが保育施設に入れない問題。

横浜市がスムーズに職場復帰ができるようにと考え出したのが、コンシェルジュ方式。職場の近くがよいのか、自宅の近くがよいのか、 一人ひとり状況も条件も違うため保育施設がなかなか見つからないという待機児童問題。横浜市は、一人ひとりの状況や条件の違いをもとに、 行政がいっしょになって保育施設を探すコンシェルジュを配置し、大きな成果をあげています。

・宮城県仙台市  ~高齢者の元気対策、リーダー養成で地域づくり!~

 地域の高齢者に呼びかけ、多くの課題について学ぶリーダーを養成し、そのリーダーを中心に地域のつながりを作り、 地域を元気にしていく取り組みが成果をあげていました。
 多くのことを熊本市政に生かしてまいります。

[4] スクールソーシャルワーカー(SSW)の増員は、学校教育喫緊の課題!

 今年度、文科省でも子どもの貧困や虐待、自殺やいじめ、不登校等々、子どもを取り巻く課題が、 学校だけでは解決できないことを認識せざるを得ない状況になってきたことを受けて、全国のすべての中学校に、 スクールソーシャルワーカー(以降SSWと表記)を配置するための予算要求をはじめています。

 本市熊本では、2006年からいち早くそれらの課題に着目し、全国に先んじてSSWの設置に動きました。 開設当初は2名配置でしたが、その必要性と大きな実績を認められて、現在6名を配置して相談・支援に対応しています。

 そして、子どもたちや保護者、学校現場からその相談活動や各種機関との連携の成果は高く評価され、今では熊本 市の子どもたちの相談・支援になくてはならない存在となっています。

 しかし、先に述べたように近年の子どもたちを取り巻く課題が急激に増加し、これまでの6人体制ではとても対応できない厳しい状況になっています。 SSWの必要性を訴え当初の設置から取り組んできた私たちとしては、その状況を把握分析し、すぐに専任スタッフの倍増を求めたいところですが、 まずは本年度中に、補正予算を組み、最低でも10名の配置を求めて、所属する市民連合の会派の議員と連携して実現させてまいりたいと考えています。

 さらに、SSWの成果をさらに子どもたちの暮らしに生かすために、現在の「派遣型」の活動から「中学校配置型」に変更し、 中学校区の小中の連携を図り、長期的に子どもたちの暮らしに密着した相談・支援ができる方法に改善を求めていくことを提言します。

 以上のことを、市民連合会派をあげて、12月議会の一般質問の中で論議し、まずは今年度内の補正予算の獲得に向けて、 担当部署との折衝を積極的にすすめてまいります。

[5] 市職員障害者採用枠 昨年の交渉を受けて改正!

 昨年度熊本市では、全盲の青年が、熊本市の採用試験を受験しようとしたにもかかわらず、 点字受験ができないという理由で、門前払いされるという大問題が起こりました。

それを受けて、本人と支援者が交渉団を組織し、熊本市と話し合いを重ねました。結果は、残念ながら、 年度中の受験は最後まで認められませんでしたが、次年度の改善を確認していました。

 その成果として、本年度は、全職種点字受験可能となりました。また「自力通勤可能な者」という欠格条項も削除されました。 さらには、日本国籍条項の変更など3点の大きな前進を獲得することができました。

 しかし、就労後の労働環境整備など、まだまだ課題が山積しています。引き続き完全平等をめざし取り組んでまいります。

[6] 若者の政治参加を推進 18歳選挙権を市政に生かすために!

 これまで20歳だった選挙権が18歳に引き下げられます。今年6月17日に改正公職選挙法が成立したためです。 選挙権の年齢が変わるのは、実に70年ぶりのことです。周知期間が1年とされており、実際に投票できるのは、来年夏(7月)の 参議院選挙からとなります。

 来夏新たに有権者となる17歳、18歳、つまり現在の高校2年生と高校3年生の人口は約240万人、全体の2%です。 来夏の参議員選挙以降、地方選挙でも投票できることになり、首長選挙、議員選挙に大きな変化が現れるのかどうか、それは新有権者が 実際に投票所に足を運ぶかどうかにかかっています。

 そうでなくても、20代30代の低投票率が指摘されていることから、果たして現在の高校2年生3年生の選挙への関心はどうでしょうか。

 自民党内の特別委員会では合わせて、喫煙や飲酒の年齢引き下げを議論したそうですが、さすがにこれには党内から反対意見が噴出したそうです。 税収増を考えたんでしょうか?しかし、喫煙、飲酒に限らず、18歳以上を成人とするかどうかは民法で20歳以上を成人として規定しているため、 別の問題となります。今回はあくまで公職選挙法の中だけの規定を変えた、ということなのです。

 いずれにしても、70年ぶりのことですが、子どもの時から民主主義や政治のことをしっかり伝えないと、さらなる低投票率という社会問題になりかねません。 大人の側の課題と提えましょう。
 まずは、若者たちとしっかり論議することから始めたいものです。